かつてレコードには、A面とB面がありました。
若い人だと本気で知らない人もいるらしいですが、
レコードって表と裏、それぞれに音楽が収録されていて、
片面を聴き終わるとレコードをひっくり返して、もう片面を聴いていたのです。
で、A面B面というコトバには、レコードの面のことを指すだけでなく、
A面は華やかな表舞台、B面は控えめな影の世界、というようなイメージも含まれていました。
そんな、A面とB面というニュアンスは、
2人セットで語られることの多い人物に置き換えられたりもします。
名前を出すのはたいへん失礼だとは思いますが、そうしないと説明できないので、
ここはあえて名前つきで書かせていただきます。
長嶋茂雄はA面で、王貞治はB面。どちらも偉大ですが、しいて言えばそうかな。
中村俊輔はA面で、遠藤保仁はB面。そういう時期もあったかもしれないけど・・・。
小堺一機はA面で、関根勤はB面。いやー、出始めはそうかもしれないけど、今は・・・。
そうなのです。ここからが本題です。
世間のイメージが先行し、A面とB面の構図だと思われていたB面の人が、
その後、実績やら人柄やらで、その関係をくつがえすことがたまにあります。
いうなれば、B面がA面を食ってしまう。
先に挙げた関根勤氏は、まさにその代表格だと思います。
こういう人たちがスターになると、とても渋く味わいのある輝き方をします。
そういう人が、僕は大好きなのです。
おそらく本人は何も変わっていないのです。
自分の実力や個性にこつこつと磨きをかけるうちに、いつしか周囲のほうが変わってしまった。
A面とかB面とか、くだらないレッテル貼りをする者(はい、僕です)を尻目に、
時間をかけて自分の存在価値を世間に認めさせてしまう強さが、素晴らしいと思うのです。
A面B面という色メガネは、あまり品のいいものではありませんが、
実際、B面タイプと思われる人が、どんどんのし上がっていく姿を見るのは
とてもおもしろく、痛快です。そして勇気をもらいます。
明らかにB面タイプの僕も、そんな力強さを身につけたいと思っていますが、
これを実現するのはとても大変なこと。
でも、だからこそ日々精進しなければと、自分を奮い立たせる毎日です。
[代表雑記 017] B面がA面を食う
2017年11月1日