Column & Diary

[代表雑記 050] 東京に雪が降ったら

2018年1月24日

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先日の雪はなかなかの降りっぷりで、かなりの積雪をもたらした。

当日は、早くから気象庁が注意を呼びかけ、
ニュースでは帰宅困難者が大量に出るかもしれないと報じていた。
夕方ごろ、窓から外をのぞくと、道路はすでに白く覆われていた。
チェーンをつけたクルマが走る音。激しく舞い散る雪。コトは始まっていた。

とはいえ、ここは仕事場であるが自宅でもある。
帰宅困難になりようもない。帰宅困難になるがむしろ困難である。
あわてたり、不安になったりする必要はまったくない。
しかしながら、不安にならずに済むというのも、どこか口惜しいのだ。
あの日は大変だったねーと、いつか誰かと体験を分かち合いたいではないか。
僕はそそくさとコートを着込み、外に出てみることにした。

思いのほか雪はさらっとしていた。
出身地である福岡では、雪が降ること自体あまりないが、
降ると雪は水分が多く、べちゃっとしていた。いわゆるボタ雪というやつだ。
と、ここでボタ雪を調べたら「ボタン雪」のことだと知った。
ボタボタと落ちるように降ってくるから、ボタ雪というのだと思っていた。

と、そんなこんなで、勇んで雪の降る街に出てみたわけだが、
そんなに珍しいことが起きるわけでもない。
とりあえず、切れかかっているコーヒー豆でも買おうと、スタバまで行く。
豆を挽くまでの待ち時間にどうぞ、とミニサイズの紙コップでコーヒーをもらう。
「寒いなか、ありがとうございます!」
と、いつも以上にホスティビリティ高めのスタッフさん。
雪国のかまくらで、おしるこを振舞ってもらっているみたいだ、と脳内で変換する。
今回の雪の思い出は、これでよしとしよう。

夜も更けると、人がまばらとなり、クルマの通りもめっきり少なくなる。
路地に入ると、降り積もった雪が音を吸って、しんとした静寂に包まれる。
あの、なんともいえない静かな世界も、雪の日ならではのものだ。
日常なんだけれども、どこか非日常的な、ちょっと変な気分になったりする。
そのせいだろうか。時に人は、とんでもない雪像をつくってしまう。

正直にいえば、雪が降った時の最大の楽しみは、
後日ネットにわらわらとあふれてくる、おもしろ雪像を眺めることだ。
こんなくだらないことに、本気のクオリティで挑んでくる猛者たちを、僕は心から尊敬する。
これで傷つく人もないだろうし、見た人みんなが笑うだけ。しかも溶けてすぐになくなる。
世界平和ってこういうことなんじゃないかとさえ思ったりもする。いや、それは違うか。

そろそろ今回の作品が出回り始めている。
これを見て、大笑いしたら、今回の雪のことはもう終わり。
いつもの日常が戻ってくる。